世の中は桜の花開く季節となり、進学・就職・定期異動等節目の候
=新年度となります。
不動産の話題としてもトピックスとして今回大きなポイントはあるので
お知らせしたいと思います。
令和6年4月1日から相続登記の義務化が開始されます。
不動産登記法改正後は「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」に相続登記をしなくてはなりません。
今までは相続が発生しても相続登記をするかどうかは個人の判断に任されていましたが、
これからは相続登記を一定の時期までに手続きしないと、罰則が課されるようになります。
最近、報道でもなされる「空家問題」これに係わる政策実施とも言えます。
実家を空き家のままにしてある方も多いかと思います。いつかは実家をどうすべきか?考えなければならない時期が訪れます。
また、少子化の今、自分の子供に田舎の実家を相続させたくないと考える親世代もいると思います。
令和6年4月1日から相続登記の義務化が施行されます。これを機会に親の実家をどうすべきか?
親が元気であれば、親も交えて、子供たちで話し合ってみましょう。
2018年の全国の空き家は約849万戸で、総住宅数に占める空き家割合は実に13.6%を占めています。
国土交通省が行なう「住宅・土地統計調査」は5年ごとの調査になりますが、今年の4月頃に発表される
調査結果が待たれるところです。
日本は人口減少が続いている国ですが、住宅総数は増加しています。
人口が減っているのに住宅が増えているのはおかしいですが、核家族化や一人暮らしが増えていることが
空き家増加の要因の一つでもあります。
<制度概要>
①相続登記の義務化
令和3年4月21日に民法が一部改正され、相続登記の申請の義務化などを含む所有者不明土地の発生の予防、
利用の円滑化に関わる民法の総合的な見直しが行われました。
後で解説しますが、所有者がわからない土地、「所有者不明土地」を増加させないことを目的として、
不動産相続後に所有者を明らかにするための登記が義務化されたのです。
相続登記をしないと10万円の罰金(刑事罰)?
⇒10万円の罰金、、、ではなく10万円以下の「過料」
相続した不動産の登記の義務を怠ると、10万円以下の過料の適用対象となります。
過料とは「社会秩序を守るための罰」であり、他には戸籍や住民票の届け出を怠った場合や、
都心繁華街でたばこのポイ捨て禁止条例に対する違反に対して課される罰も過料となります。
罰金とは刑事罰であり、過料とは別物です。また、民法の義務違反である過料では前科はつきません。
制度はいつから開始?
⇒令和6年4月1日施行から
現時点(2024年3月現在)ではまだ先ですが、既に相続している方も対象となるため注意しましょう。
既に相続をしている方は、施行日(令和6年4月1日)から3年が期限となります。
相続後いつまでに登記が必要?
⇒“不動産を取得したことを知った日”から3年以内に登記の申請が必要
ここで重要なのが「被相続人の死亡を知った日」からではなく「不動産を相続したことを知った日」が
起点となることです。または遺産分割が成立した日から3年以内となっています。
②相続人申告登記
遺産分割がスムーズに行われない場合は、今回新たに設けられた「相続人申告登記」を用いることで
簡易的に相続登記の申請義務を履行することが可能になりました。
この制度では登記官に対して相続が開始されたこと、自らが相続人であることを申し出ることで申請義務を履行できます。
また、不動産の持ち分割合までは登記がされないため従来の制度よりも簡単に申請を行うことができるのです。
※相続人申請登記では権利の取得までは公示されない。
③相続土地国庫帰属制度
相続または遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、
土地を手放して国に引き渡すことが出来る制度です。
相続しても処分に困る方は、この制度の利用を検討しても良いかもしれません。
相続した空き家や土地は、所有し続けるだけで、固定資産税やメンテナンス費用がかかります。
売却したいと思っても買い手が見つからない場合もあろうかと思います。
このような場合に、相続した土地を国が引き取ってくれる制度が令和5年4月27日からスタートしています。
宅地だけでなく田畑や山林も対象です。ただし、建物が建っている土地は引取り対象外です。
また、引取りが決まった場合は、国に10年分の土地管理相当額の負担金(20万円程度)を納めないといけません。
④所有者の住所変更等の登記も義務化予定(令和8年4月までに施行)
不動産の所有者がわからなくなってしまう要因の一つとして、所有者の住所変更、名前変更の登記がされないことが挙げられます。
今までは任意とされていましたが、転居後2年以内の変更登記が義務化されることになりました。
正当な理由がなくこれを怠った場合は5万円以下の過料となります。
<民法 不動産登記法改正の背景>
なぜ不動産登記を義務付ける法改正がおこなわれたのでしょうか。
それには全国的に増加する所有者不明土地の問題が関わっています。
所有者不明土地とは
所有者不明土地とは相続登記が行われなかったことで、所有者が分からない、所有者に連絡がつかない土地を言います。
この所有者不明土地は全国で約410ha、九州の面積以上にもなります。(2016年時点、一般財団法人国土計画協会)
所有者がわからないことで土地活用が妨げられる
所有者不明土地があることによって、土地の管理が行き届かず危険な状態にあっても処分ができない、
公共事業を行う妨げとなるなどの問題が生じているのです。
そもそも不動産登記とは?
不動産登記、そもそも登記とは一定の事項の所在や所有者などの権利を公に明らかにするための制度です。
「これは自分の物だ!」と世間に向かって宣言するのですね。
「遺産分割が進まない不動産」の活用を促進する改正も不動産の相続登記義務化は今回の所有者不明土地解消に
向けての改正の一部であって、その他にも解消のためのアプローチがなされています。
段階的に法改正がなされますが、その中でも不動産の財産分割がなかなか進まず、
土地を活用できない不動産所有者に向けたものをご紹介します。
長期間経過後の遺産分割の新たなルール(令和5年4月1日施行)
⇒所在地などが不明な共有者がいる不動産の活用を促進
相続が発生してから遺産分割がされずに月日が経過すると、さらに相続が発生し大変多くの相続人が権利をもつ状態となります。
そうなってしまうと、売却するにも各権利者の了承を得なくてはならなくなり土地の活用が非常に困難になってしまいます。
休日に遠方の親類の家を回って、不動産売却の了承を得る…なんて手間、考えただけで頭が痛くなりますよね。
当店では、創業時以来ご協力いただいている「弁護士」「司法書士」「税理士」との
接点がありますので、不動産売買も含めてご相談することが可能です。
BY 池田
目次
①相続登記の義務化
②相続人申告登記
③相続土地国庫帰属制度
①相続登記の義務化
不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記しないと、正当な理由がある場合を除いて、10万円以下の過料が科せられます。相続人同士の話し合いがまとまらない、相続人の中で行方不明者がいるなど、3年以内に相続登記できない場合は、自らが相続人であることを申し出る「相続人申告登記」があります。
実家を相続しようにも、活用もできない、売却もできない場合もあろうかと思います。最近は、田舎の土地を相続しても利活用が出来ず、土地を手放したいと考える方も増加傾向にあります。それが相続の際に登記されないまま土地が放置される「所有者不明土地」が発生する要因の一つと言われています。売れる土地や活用可能な土地であれば、承継したいと考える子供たちがいるものの、相続しても煩わしい土地、しかも誰も買わないであろう土地は、相続人みんなが相続登記をも敬遠しているケースもあります。そのような所有者不明土地の発生予防策として創設されました。
②相続人申告登記
遺産分割協議が一定期間内で整わない場合は、「相続人申告登記」という制度も新設されました。「相続人申告登記」とは、亡くなった人名義の不動産について、相続人自らが法務局に対し自分が相続人である旨を申し出ることによって、登記官がその申し出た相続人の住所・氏名などを職権で登記記録に登記することをいいます。そういう制度を利用することで、相続人が相続登記の義務を果たしたことになり、過料は免れます。
相続人申告制度は相続人全員ではなく、自分一人だけで申告することも可能です。
申出をする相続人自身が被相続人(亡くなった方)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本を提出することで法務局が職権で登記記録を登記してくれます。
③相続土地国庫帰属制度
相続または遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡すことが出来る制度です。相続しても処分に困る方は、この制度の利用を検討しても良いかもしれません。
相続した空き家や土地は、所有し続けるだけで、固定資産税やメンテナンス費用がかかります。売却したいと思っても買い手が見つからない場合もあろうかと思います。
このような場合に、相続した土地を国が引き取ってくれる制度が令和5年4月からスタートしています。宅地だけでなく田畑や山林も対象です。ただし、建物が建っている土地は引取り対象外です。また、引取りが決まった場合は、国に10年分の土地管理相当額の負担金(20万円程度)を納めないといけません。
不動産相続時の登記が義務化
令和3年4月21日に民法が一部改正され、相続登記の申請の義務化などを含む所有者不明土地の発生の予防、利用の円滑化に関わる民法の総合的な見直しが行われました。
後で解説しますが、所有者がわからない土地、「所有者不明土地」を増加させないことを目的として、不動産相続後に所有者を明らかにするための登記が義務化されたのです。
相続登記をしないと10万円の罰金って本当?
⇒10万円の罰金、、、ではなく10万円以下の「過料」
相続した不動産の登記の義務を怠ると、10万円以下の過料の適用対象となります。
過料とは「社会秩序を守るための罰」であり、他には戸籍や住民票の届け出を怠った場合や、たばこのポイ捨て禁止条例に対する違反に対して課される罰も過料となります。
罰金とは刑事罰であり、過料とは別物です。また、民法の義務違反である過料では前科はつきません。
制度はいつから開始?
⇒令和6年4月1日施行から
現時点(2022年1月現在)ではまだ先ですが、既に相続している方も対象となるため注意しましょう。既に相続をしている方は、施行日(令和6年4月1日)から3年が期限となります。
相続後いつまでに登記が必要?
⇒“不動産を取得したことを知った日”から3年以内に登記の申請が必要
ここで重要なのが「被相続人の死亡を知った日」からではなく「不動産を相続したことを知った日」が起点となることです。または遺産分割が成立した日から3年以内となっています。
遺産分割がスムーズに行われない場合は、今回新たに設けられた「相続人申告登記」を用いることで簡易的に相続登記の申請義務を履行することが可能になりました。この制度では登記官に対して相続が開始されたこと、自らが相続人であることを申し出ることで申請義務を履行できます。また、不動産の持ち分割合までは登記がされないため従来の制度よりも簡単に申請を行うことができるのです。
※相続人申請登記では権利の取得までは公示されない。
所有者の住所変更等の登記も義務化されることに(令和8年4月までに施行)
不動産の所有者がわからなくなってしまう要因の一つとして、所有者の住所変更、名前変更の登記がされないことが挙げられます。今までは任意とされていましたが、転居後2年以内の変更登記が義務化されることになりました。
正当な理由がなくこれを怠った場合は5万円以下の過料となります。
民法 不動産登記法改正の背景
なぜ不動産登記を義務付ける法改正がおこなわれたのでしょうか。それには全国的に増加する所有者不明土地の問題が関わっています。
所有者不明土地とは
所有者不明土地とは相続登記が行われなかったことで、所有者が分からない、所有者に連絡がつかない土地を言います。この所有者不明土地は全国で約410ha、九州の面積以上にもなります。(2016年時点、一般財団法人国土計画協会)
所有者がわからないことで土地活用が妨げられる
所有者不明土地があることによって、土地の管理が行き届かず危険な状態にあっても処分ができない、公共事業を行う妨げとなるなどの問題が生じているのです。
そもそも不動産登記とは?
不動産登記、そもそも登記とは一定の事項の所在や所有者などの権利を公に明らかにするための制度です。「これは自分の物だ!」と世間に向かって宣言するのですね。
「遺産分割が進まない不動産」の活用を促進する改正も
不動産の相続登記義務化は今回の所有者不明土地解消に向けての改正の一部であって、その他にも解消のためのアプローチがなされています。
段階的に法改正がなされますが、その中でも不動産の財産分割がなかなか進まず、土地を活用できない不動産所有者に向けたものをご紹介します。
土地を手放す制度も創設された(相続土地国庫帰属制度)(令和5年4月27日施行)
土地を放棄し国庫に帰属させることができる制度です。対象となるのが建物、工作物などがない、土壌汚染がない、危険な崖がないかというように管理や処分をするにあたって費用や手間がからないものとされています。
この制度は申請後に法務局職員などによる審査を経て行われるのですが、その審査費用や10年分の管理費を納める必要があります。つまり「いらないものを無料で引き取ってくれる」というような都合のよい制度ではないわけです。
長期間経過後の遺産分割の新たなルール(令和5年4月1日施行)
⇒所在地などが不明な共有者がいる不動産の活用を促進
相続が発生してから遺産分割がされずに月日が経過すると、さらに相続が発生し大変多くの相続人が権利をもつ状態となります。そうなってしまうと、売却するにも各権利者の了承を得なくてはならなくなり土地の活用が非常に困難になってしまいます。
休日に遠方の親類の家を回って、不動産売却の了承を得る…なんて手間、考えただけで頭が痛くなりますよね。
そこで、今回の新たなルールでは被相続人の死から10年が経過した場合、遺産分割は法定相続分、指定相続分によって画一的に行うことになりました。法定相続分とは民法で決められた相続割合、指定相続分とは遺言によって指定された相続分をいいます。
施行は令和5年4月1日ですが、猶予期間として5年が設けられており、この猶予期間終了より前に相続開始から10年の期間が経過したものに関しては猶予期間以降に具体的相続分による分割の利益を喪失することとなります。
共有制度の見直し(令和5年4月1日施行)
⇒所在地などが不明な共有者がいる不動産でも賃貸など活用が可能に!
不動産を共有する人物の所在地が不明な場合、共有者の間で意思決定をすることができず土地の活用が妨げられてしまうことが問題となっていました。
今回の改正で、地方裁判所に申し立てをすることで軽微な修正などの管理行為をすることが可能となりました。
相続は未然に相談してトラブル回避を。早めの対処が肝心!
不動産の所有者を明らかにし、活用を促進するための今回の改正。ですが、そもそも不動産は相続によって権利が複雑になる前に対処をすることが大切です。
不動産登記の過料の他にも、相続後の早期売却で得られるメリットをご紹介しましょう。「相続税の取得費加算」制度は相続税の申告期限の翌日から3年以内に、相続した不動産を売却することで相続税を取得費として加算し不動産譲渡所得税を節税できる制度です。
思い入れのある実家でも、何もせず放置していては固定資産税や維持費ばかりがかかる“負”動産。ぜひ早めの活用を検討しましょう。
不動産の売却には多くの専門知識が必要になります。頼れるパートナーを見つけて余計な出費をせずに進めたいですね。
リプラス栄店 までご相談ください!
参考資料:法務省民事局「令和3年民法・不動産登記法 改正 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」