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スタッフコラム

2021.10.04

マンションにおける「終活」を考える・・

今回はタイトルが重々しいものとなっていますが、人間・物質(建物)もいずれは

形あるものは壊れることは自明の理ですね。

建物についていえば、築年数を重ね「経年劣化」を重ね補修がこれ以上効果が見えないとき

戸建住宅の場合は「取り壊し」→「更地化」→「再建築または売却」が一般的で

その関与人数が限られているため比較的その方向性は決めやすいかと思います。

しかしながら、マンション(集合分譲住宅)はその関与数が多いため、利害関係が

錯綜しスムーズに事が運ばないのは当然のことです。

 

今回は当店にて中古マンションご購入のお客様にも聞かれることの多い

「老朽化マンション再生(終活)」について考えたいと思います。

要除却認定マンションの基準拡充によりマンション建替促進化

<マンション老朽化状況>~2030年には築40年以上232万戸

1970年代マンションブーム(現状築40年以上)により大量供給されたマンションが

築40年を超え建替時期を検討する時期を迎えつつあります。

国土交通省によると築40年を超えるマンションは20年末103.3万戸でしたが、

30年には231.9万戸(2.2倍)に達する見込みとなっています。

しっかり「メンテナンス」を行えば直ちに問題が発生するものではありません。

しかし適切な維持管理を行わず老朽化が進むと居住者のみならず近隣住民の

身体生命に危険が生じることとなります。

修繕改良が困難な物件は再生(終活)が必要なのは当たり前のことです。

<老朽化マンション処分方法>

一般的には「建替」または「(マンション)敷地売却」に二分されます。

「建替」は区分所有者が主体となり「マンション建替組合」を設立し組合が

デベロッパー等の協力を得ながら行います。

「建替」によって戸数増となる場合はこれをデベロッパーへ売却することで

当該区分所有者の費用負担の軽減を図ります。これには区分所有者議決権の

8割以上の賛成を要します。

「敷地売却」は区分所有者が設立した「敷地売却組合」が取得した建物と敷地

の権利をデベロッパーへ売却する方法です。

再建築の場合は購入も可能ですが売却資金を温存し転居することもできるので

選択肢がひろがるメリットがあります。

<いままでの問題点とその打開策>

いままでは以上のような方向性ができたとしても「区分所有者全員賛成」が

必要だったため実現は極めて困難でした。

考え方もそれぞれなのが大きな要因ですがそれ以上に所在不明者がいると

その時点で条件クリアができません。

そこで2014年12月に施行された「改正マンション建て替え円滑化法」では

「要除却認定」制度が創設されました。

この認定をうけると区分所有者議決権の8割以上賛成があれば建物・敷地の売却

が可能となりました。

<要除却認定建物の条件>

この認定を受けることのできる条件は以下の通りです。

~要除却認定を受けることができるマンションの類型は以下の5つになります。~

1.地震に対する安全上の耐震関係基準に適合しないもの(現在の基準)
2.建築基準法の防火と避難規定に適合しておらず、簡易な修繕で適合させることができないもの
3.鉄筋に沿った浮きやひび割れがあり、外壁の剥落が起こる恐れのあるもの
4.スラブ下配管方式の場合の排水管に複数の漏水が発生しているもの
5.マンションに設ける集会室または各住戸への経路でバリアフリー基準に適合しないもの
 

1番~3番については容積率緩和と敷地売却事業の対象となり、4番と5番は容積率の緩和のみ対象となります。
また1番についてはこれまでの規定ですが、2番~5番が改正により追加される規定になります。

 

<建替時容積率緩和も付加>

20年6月に改正された「マンション建て替え円滑化法」では老朽化マンションについても敷地売却が

しやすくなることを目指して上記のように「除却認定」対象が緩和されました。

※今年12月施工予定

上記認定の1~3は「特定要除却認定」対象となり区分所有者8割賛成で敷地売却が可能となります。

また上記画像「団地における敷地分割制度」も適用され同一敷地内複数棟のある団地型マンションの

場合、一部建物のみが特定要除却認定対象となる場合は分割して処分決定可能となります。

1~5 該当マンションは要除却認定対象となり特定行政庁(都道府県等)許可のもと「容積率緩和特例」

が利用可能となります。容積率が緩和されるとその分、建替時には戸数・床面積増加が可能となります。

増えた戸数分を売却して建替資金に回すことで現状区分所有者負担軽減も見込めます。

 

<おすまいの行く末を知ること>

老朽化マンション再生(終活)はその居住者(区分所有者)にとってはいずれ起こりうる事象です。

考えないわけにもいきませんし、必要以上に恐れる必要もありません。

例えば利便性のよい立地の築古マンションならば(別途開発業者が)買取再建築の可能性も

あるのでその時が来ても慌てることもないのです。

現在入居中(区分所有者)の方もこれからご購入検討の方もその点を頭の片隅において

頂ければ幸いです。

このことでご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

※余談ですが当方は市内東部マンション(1974年築47年)に居住中ですが、メンテも計画的に実施しており

耐震診断をうけたところ(教科書どおり要補強指摘をうけましたが)現状強度に不安はありませんし

立地は悪くない(地下鉄東山線駅・徒歩10分)ので行く末には幸い過度な不安感はありません。

                                     BY 池田

 

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